千宗室 総監修
淡交新社 刊
昭和36年8月発行
定価2500円
千宗室による序文より
「かねて当庵歴代の好物の図録を作成して、これを後世に伝えたい念願をもっておりましたが、このたび大方のご賛同を得て、ここに上梓の運びとなりましたことは、まことに欣快にたえないところであります。(中略)ねがわくば茶道を修めらるるほどの方々は、指導者も、数寄者も、この書を常に座右において、茶道の知識をふかめ、侘びの本体を探求されんことを切に望む次第であります。」
解説(目片宗允)より一例(写真右下85)
仙叟好 矢筈釜
「肩から口へかけて大きく内側へ折り込んでいるのを矢筈口といいます。矢の先の弦を受ける切り形を矢筈と称しますが、これはまた、羽根の切り込みに似ているともみられます。釜の形としては真にめずらしく、好の文字と替わり判の仙叟花押が鋳込みになっています。鐶付はさいころであるのもおもしろく、賽の目があります。この作者は初代寒雉で、通例は唐銅蓋ですが、これは古鏡蓋になっています。」
経年による日焼けが表紙裏にありますが本文の状態はきれいです。