山岳信仰・仏教と神道の融合した秋葉山の秋葉大権現の掛け軸。
燃え盛る炎を背に、剣を携え羽を広げる鴉天狗が眷属である稲荷神に乗り、風の中悪鬼を睨みつける像容。
江戸時代、安政三年(1856年)。
縦の長さ65cm、横幅24.5cm。
直筆保証。


秋葉大権現は秋葉山を本山とする山岳信仰・神仏習合の仏です。
明治以降は廃仏毀釈により衰退し、今では殆ど信仰が消え失せましたが江戸時代においては盛んに全国で祀られました。
山への畏れそのものである鴉天狗、神道における商売の神狐の稲荷神、密教で神聖視された炎と全てが融合し、火除けや厄除けの神として崇められました。

梵文ではOm hi ra hi ra kham hi ra khamna svahaと表されます。
意味としては
「おお、どんどん火よ燃えよ、竃よ、火よ燃えよ、竃に、めでたし」、「一心帰命／秀登勢気／天火地火／虚空散煙／三業の業火妄想より生ずる火／無等空無得／広大無辺／ラ 智火充満／悉皆消滅／諸魔邪鬼便利を得ず／事理成就心願満足」
(坂内龍雄『真言陀羅尼』より一部引用)とされています。

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