ベートーヴェン
①ピアノ・ソナタ第14 番嬰ハ短調『月光』
②6つのバガテル Op.126
③ピアノ・ソナタ第8 番ハ短調『悲愴』
④アンダンテ・ファヴォリ WoO57

ヨス・ファン・インマゼール（フォルテ・ピアノ）　ジョス
録音：1983年11月

フォルテピアノ奏者として、また指揮者として現在の古楽シーンを牽引するヨス・ファン・インマゼールがAccentレーベルに録音した一枚。若きインマゼールが、ベートーヴェンも使用したフォルテ・ピアノ「コンラート・グラーフ」を躍動感たっぷりに弾いています。

冒頭の『月光』の第1楽章から聴き始めれば、ベートーヴェンがフォルテ・ピアノのこの音色をイメージして作曲したのだと確信が持てます。現代ヒアノにはないくすんだ音色こそ、この曲の幻想的なイメージを表現するのにピッタリだと思えてきます。あまり聴く機会はない『6つのバガテル 』は、ベートーヴェン晩年（53～54歳）の作品でもあり聞き逃す訳にはいきません。そしてこの次は『悲愴』ですが、絶妙に調律されたフォルテ・ピアノの魅力が全開です。『アンダンテ・ファヴォリ』は、もともとピアノ・ソナタ第21番『ワルトシュタイン』の第2楽章に作曲されたもの。ソナタからは外されましたが、単独でも十分魅力的は楽曲です。

チェンバロ奏者として古楽への造詣を深めながら、半世紀近く前から歴史的なモデルのピアノの奏法と向き合ってきたインマゼールが、彼と同じく生前は卓越した奏者として活躍、この楽器の発展に大きく寄与したベートーヴェンの独奏曲群へ向かう日が来たというのは、いわば必然かつこのうえない運命と言えましょう。ここでは1800年前後の最も充実したソナタ群の世界が探求されています。『悲愴』『月光』といった名前で知られる名曲をはじめ、楽器の特徴をよくふまえた奏者でなくては辿りつけない境地へ・・・。6つのバガテル Op.126、アンダンテ・ファヴォリ WoO57など、小品も織り交ぜ作曲家の音楽世界をくまなく探求してゆくプログラム構成は、高い期待を掻き立てずにおきません。

輸入盤、盤面傷無し　12
ライナー(解説書)緩い折れあり

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