SFの入門書として他に類を見ない稀覯本です。このシリーズの劈頭を飾る「1地上編」は,「超科学の世界」「来るべき世界」「地球の滅び」「ロボットとミュータント」という4つのテーマの章立てで,古代の遺跡や宇宙の写真,映画のポスターや極彩色のイラスト,アメリカのペーパーバックや当時の邦訳本の表紙などが様々なサイズで配され,イメージや映像が効果的に喚起されます。それを一層膨らませてくれるのが,巨匠小松左京氏や南山宏氏らの刺激的な解説で,巻末には,石川喬司氏によるテーマ別作品リスト「SF読書ガイド」が組み込まれ,これから実際にSFに親しもうとする読者へのまたとない手引きになっています。そして単なるガイドブックとは一線を画すような構成として,漫画家竹宮恵子氏によるSFロマンコミック『夢みるマーズポート』や,田中光二によるSF書き下ろし冒険小説『ハンティング・ワールド』がSFの醍醐味の一端を味あわせてくれます。