型物香合番付東方三段目の交趾香合を9代樂吉左衛門（了入）が写したもので、技巧派の了入らしい秀作と言えます。本歌通り小判型の合子に、蓋には獅子、身には剣先弁を浮彫してあります。共箱は蓋表に『カウチ写 獅子香合　楽吉左衛門』として印が捺してあります。また箱脇に伝来元の印が捺してありますが判別は出来ませんでした。紐は劣化で短くなっておりますが樂のウブな紐が付いております。
よく観察しないと分かりにくいですが、蓋（獅子の背中側）に精巧な直しがあります＊写真⑯、⑰。身の方に4㎜×1㎜、2㎜×1㎜の釉ハゲが確認できます＊写真⑭、⑮。印は樂家が類焼した天明の大火後の「中印」と呼ばれるもので天明8年(1788)～文化8年(1811)頃の作品ということが判ります。ですので制作されてから200年以上経過しております。この様に少しずつ経年変化しておりますが使用する分には問題ございません。ご理解ご承知の上ご購入下さいませ。

共箱。

幅8.8㎝　奥行き6.8㎝　高さ（獅子の頭らへんを計測）6.5㎝

▢樂了入（らくりょうにゅう）
宝暦6年(1756)～天保5年(1834)
樂家9代。千家十職。7代長入の次男。明和7年(1770)に家督を継ぎ襲名。了々斎宗左から一字を贈られ、了入と号す。文政2年に次男旦入と紀州徳川家御庭焼に従事。樂家中興の名工と称される。箆使いに優れ、掛分けを創案。印は「火前印」「中印」「草書印」を使用。他に「翫度老人」の印もある。

【参考文献】
落款花押大辞典　淡交社
茶道辞典　淡交社
定本 樂歴代　淡交社

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