ドヴォルザーク
①ヴァイオリン協奏曲イ短調 op.53
②ロマンス ヘ短調 op.11
③序曲『謝肉祭』 op.92

五嶋みどり（ヴァイオリン①②）
指揮：　ズービン・メータ
ニューヨーク・フィルハーモニック
録音：1989年5月（デジタル／ライヴ）

ニューヨーク・フィルハーモニックの定期公演に登場した五嶋みどり迫真のライヴ録音。現代を代表するヴァイオリニスト・五嶋みどりが、17歳の時にズービン・メータ率いるニューヨーク・フィルハーモニックの定期公演に登場した際の、迫真のライヴ録音。満場の聴衆を前にした気迫に満ち、スケール感大きな音楽の随所に、当時「小鳥のような純真さ」と評されたみずみずしい起伏が織りこまれた、まさに堂々とした演奏です。五嶋みどりの才能を早くから評価したメータの指揮も共感に満ちています。

ドヴォルザークの協奏曲では、チェロ協奏曲が圧倒的人気で、ヴァイオリン協奏曲とピアノ協奏曲はその陰に隠れているいる印象ですが、名演をじっくり聴けばその印象もずいぶん変わります。この五嶋みどりの演奏は、一言で言えば『清冽』、ドヴォルザークの音楽の持つ決して表面的でない深さをもった感情を表現しています。「開放感」というよりは、ぴんと張り詰めた「緊張感」を感じさせる全く隙の無い見事な演奏。五嶋みどりの本分が見事に表出された録音です。世界に誇る日本人ヴァイオリニストの貴重な記録と言えるほどです。

この楽器と心中しても構わないとばかりに身を削り、必死に聴衆に我が思いを伝えようとするソリスト、アクセルを目一杯踏み込む指揮者、一人の東洋の女性を全力でサポートしようと奮闘するオーケストラ（或いはこんな小娘に負けていられるかというＮＹの意地か）。チェコの匂いもボヘミアの香りもスラヴ主義も、ここに聴ける音を前にすべて吹き飛ぶ。特筆すべきはMidoriの演奏。このヴァイオリンを聴くだけでこのCDの存在価値は絶対。通常評価だと”軽すぎ”な感じのこのメータの指揮も、Midoriのバックアップ役に徹しているとするならこの上なく見事なサポート。

国内盤、帯付き(少し傷みあり)、盤面傷無し

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