信楽焼の徳利型の花入です。
四方桟の桐箱には「信楽　徳利花入　信楽壷中窯　楽入造」の箱書と「楽入」の落款、また「楽入」の底印があります。
窯元や作家名の読みが少し難しいのですが、次の通りです。
「壺中窯（こちゅうよう、こちゅうキルン）」、「窯（よう、かま）」の英語が「Ｋｉｌｎ（キルン）」、「保庭楽入（ほにわらくにゅう）」。
ちなみに、「壺中」とは、中国の古い書に出てくる一節にある「俗世間を離れた別天地」を表すようです。窯元は茶陶が中心で、茶で有名な大徳寺とも関係が深く、大徳寺管長より「壺中」にちなんだ名の拝命を受けるなどの記事も見られます。

保管品で、桐箱に汚れや変色などはほとんど見られず、花入本体も汚れやキズ、欠け、ヒビなどはほぼなく、良好な状態で未使用と思われます。
桐箱には、陶器などを包むウコン布と説明書が入れられています。ウコン布で包まれた跡はなく、布と説明書には経年による若干の変色が。
説明書に書かれた電話番号には市外局番がなく、市外局番が制定された昭和３６年（１９６１）以前に製作の作品だと思われます。６０年以上の経年品です。
現在の「保庭楽入」氏は、昭和４０年（１９６５）生まれの３代目です。出品花入は、製作年（昭和３６年以前）から２代目「保庭楽入」氏だと考えられます。同氏の略歴などに関しては、桐箱の説明書をご覧ください。

大きさ重さはおよそ次の通りです。
高さ１４．５ｃｍ、口内径３．５ｃｍ、首径２ｃｍ、胴径９．５ｃｍ、底径６．５ｃｍ、重さは３３０ｇです。

水漏れはありません。茶事に関わらず花入に、置物にお使いいただければ幸です。