バッハ　2枚組
無伴奏ヴァイオリンのための
ソナタとパルティータ BWV 1001-1006

イダ・ヘンデル(ヴァイオリン)
録音：1995年９月、11月

円熟の技を聴かせる、1995年録音のバッハ。彼女自身、思い入れの深い作曲家であると語るバッハの、入魂の名演。弱冠10歳で第３位となったヴィエニャフスキ・コンクールでも第１番のソナタからアダージョとフーガを演奏したヘンデル。それ以来、節目節目でバッハの作品を大切にしてきたと彼女自身語っています。1995年に録音されたこのアルバムでは、70歳？とは思えない力強い響きで見事な演奏を聴かせています。

イダ・ヘンデルは、生年も不確かで録音の点数も少なく「生ける伝説」とされていたヴァイオリニスト。同じように伝説であったチェリビダッケとの共演をはじめ、90年代に入り、この人の名前を再び目にすることになった。1935年のヴィエニャフスキ・コンクールでの第１回の入賞の逸話は有名で、このときの優勝がジネット・ヌヴー、２位がオイストラフでした（イダ・ヘンデルは７位）。このときに年齢を鯖を読み出場した。実際には７歳であったという説もあり。ヌヴーは早世し、オイストラフも故人。イダ・ヘンデルは、そうした人達と時代を接し、90年代も活動していたという奇蹟。深く顔に皺は刻まれ、容貌も魁偉。それ以上に、音楽がまだ新鮮さを保っているのは驚くべきこと。演奏は客観を為し時代の変遷を経て来たもの。95年に録音されたにも関わらず、イダ・ヘンデルのスタイルは彼女の生きた時代に即して古い。それは古いレコードに聴くバッハであり、同時にCD、デジタル録音の時代になっても未だ届く不思議な感触。こうしたものは肌合いの問題で、かつての名盤に馴染んだ耳にはわかりやすいもの。若い時期の演奏を聴けば、ロマンの残照のある情熱的なスタイルですが、このバッハに至る時間の経過、思索と老成。しかし老人臭は演奏からはありません。感興をとどめ、テンポは概して緩やか。シャコンヌにいたっては18分という長さで歌い上げています。この長さに、ロマンの残照を感じても、大げさな身振りや、曲の曲解もない。ヨアヒム、シゲティ、エネスコからつながる感動的なバッハです。

輸入盤、盤面傷無し
プラケース少しすれあり

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