シューベルト
①ピアノ・ソナタ第18番「幻想」
②楽興の時 (全6曲)

クラウディオ・アラウ(ピアノ)
録音:1990年11月〜12月

巨匠アラウが88歳で亡くなる5ヶ月前の録音です。シューベルトの抒情を心おきなくうたいこんだ美演で、なんともいえない優しさと柔らかさにあふれており、本当に魅力的な演奏です。人生の到達点を示すような、すべてのことから解放されたような自由な演奏です。このCDジャケットには、音楽評論家:宇野功芳氏の解説文、またはアラウ最後のインタヴューの和訳が収められており、読みごたえあります。アラウ最晩年の名演はクセになります。

音楽評論家:宇野功芳氏
「他界する半年前(なんと87歳！)にレコーディングされたシューベルトのソナタは、彼が行き着いた最後の円熟の姿である。この曲の強弱はpppからfffまでと幅が広く、ダイナミックな効果を挙げようと思えばいくらでも出来るのだが、アラウは第1楽章の冒頭のテーマのppをmpで朗々と弾き始める。内声も左手も変に抑えず、デリケートぶらず、その安心感は比類もない。神経質に弱音を強調し、鍵盤をなめるように弾くピアニストが多い中で、この男性的で骨太なタッチは、シューベルトのソナタならぬ大シンフォニーを弾くのに打ってつけであり、5分もかかる提示部を反復して、いやが上にもスケール雄大に造型してゆく。内容の濃さ、曲想の抉りの利いた彫りの深さも天下一品で、気分の変化が実に大柄であり、巨匠風だ。小器用でないところが素晴らしい。展開部に入ったときの立体感、舞曲的なリズムの弾ませ方、第2楽章の交響的な強音部、第3楽章トリオの牧歌、そして絶えず音楽を語りかけるようなフィナーレ、いずれをとっても《これこそ本物の芸術》といいたい感動的な名演である。」

国内盤、帯無し、盤面傷無し 31
プラケースすれあり

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