繊細な貫入がとても美しい、萩焼の井戸形茶碗になります。
優しい手触りからぬくもりを感じられる萩焼のお茶碗は、根強い人気があります。雨漏りになりそうな気配が何箇所かありますので、育てれば化けそうな茶碗です。茶碗をじっくりと育ててみたい方にピッタリのお品物です。
【井戸茶碗の特徴】
貫入◯、竹節高台◯、轆轤目◯、渦巻き兜巾◯
基準を設けないと評価基準が定まらないとは言え…よくまぁ、『こんなに見どころを作ったなぁ~』としみじみいたします。
◆枇杷色(びわいろ)の釉薬
黄色がかかった茶色を枇杷色と呼んでいます。この色味をしたものが名碗の条件。画像では非常に綺麗な発色をしていることが多いですが、実物はそれほど綺麗に発色していないものがほとんど。薄い茶色と薄い灰色を7:3ぐらいの比率で混ぜ合わせたような色合いのものが大多数ではないでしょうか。
◆貫入(かんにゅう)
茶碗の肌に現れる細かいヒビ(うわぐすりの表面にだけ入っているヒビ)のこと。一様なヒビではなく、大きいものと小さいものが入り交じっていると大変赴き深く見えます。
◆竹節高台(たけぶしこうだい)
竹の節のような形状をしていて、高さがある高台が良いとされています。ただし、あまり高すぎると馬上盃になってしまいますのでバランスが肝心です。
◆轆轤目(ロクロめ)
3段~5段ほどのロクロ目が残るのが約束とされています。ぐるぐると回しながら作る上で生まれるものだとか。ただ、名碗と呼ばれるものでも、轆轤目はなかったりします。
◆梅花皮(かいらぎ)
高台周辺にできるプチプチとした釉薬の縮れを梅花皮と呼びます。滑り止めのために刀剣の柄(つか)に用いられる鮫肌(カイラギ)に似ていることから名付けられました。井戸茶碗には、これがないと少し物足りなく感じます。
◆渦巻き兜巾(うずまきときん)
高台のど真ん中にポチョンと尖った削りあとを兜巾と呼んでいます。渦を巻いていると、なお善し。
◆目跡(めあと)
重ねて茶碗を焼くため3~5つの目跡があるとされていますが「大井戸茶碗は重ねて焼かないため目跡は出ず、小井戸茶碗は重ねて焼くから目跡が付く」という説もあります。ですので、必ずしもあるという訳でもないのかも知れません。名碗と名高い大井戸茶碗には目跡が無い品が多いようです。