バッハ
①ヴァイオリン協奏曲第１番イ短調BWV1041
②ヴァイオリン協奏曲第２番ホ長調BWV1042
③２つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調BWV1043

ヘンリク・シェリング（ヴァイオリン、指揮＝弾きぶり）
コレギウム・ムジクム・ヴィンタトゥール
録音：1965年

シェリングの弾き振りが聴けるバッハで、これはフィリップスでの最初の録音。シェリングを語るときの常套句、「高潔」とか「厳しい精神性」といった言葉が、そのまま使える演奏です。

バッハ3曲において伴奏を務める〜ヴィンタトゥールは、チェンバロの加わった小編成のチェンバー・オーケストラで、今の古楽器アプローチとはかなり異なりますが、当時なりの試行錯誤と言いますか、研究の成果を聴かせてくれて興味深く、それなりに説得力を感じさせられます。

単に演奏がスマートで心地好いだけじゃあない、何て深い音色と表現でしょう。このシェリングを聴いて一番の良さ深さが解りました、特に第二楽章は凄い。重量感溢れるストリングスに導かれ一瞬の無音から神懸かり的な、ただひたすら美しい、カンタータの中のソプラノアリアの様な清らかなる祈りです。最後のダブルも、テンポ落とすと、二人にバイオリンの音の動きが手に取る様に解ります、しかも二人とも美しいし絡み合いが神々しく美しいです。流石に潔癖症のシェリング、徹底したヴァイオリンの美学に貫かれた名演と言えるでしょう。

シェリングの２回目の録音より、この初回の録音を上に置く方も多い。シェリングが再録音したころは、シェリングのバッハは哲学的すぎるとか、禁欲的だとか、そういう批評があったためなのか、これがシェリング？というような流暢な音楽になっていて、逆に違和感を感じた。この盤に巡り会って、私にとっては漸くシェリングらしいバッハのヴァイオリン協奏曲が聴けるようになりました。とても端正な音楽に仕上がっています。

音楽評論家:宇野功芳氏
「シェリングのヴァイオリンは安定感抜群だ。落ち着いたテンポによる腰のすわった音と進行は、ヴァイオリ二ストの存在を忘れて、われわれを曲自体に結びつけてくれる。すべての点においてバランスが良い。高い意味で万人向けの名演といえよう。」

国内盤、帯無し、プラケースすれあり　10
盤面微すれありますが再生問題無し

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