フグと鯨の鈴です。
フグはなんだか愛くるしい顔をしています。
クジラは子供を連れていて口の部分が鈴になっています。
織田信長が石山寺討伐の折 毛利の軍勢に組する村上水軍を討つために志摩半島の主九鬼嘉隆に出陣を求めて来ました。
その求めに応じて船出をしましたが 相手は名高い村上水軍とのこととで意気のあがらない部下たちを何とかして元気づける方法がないものかと さしかかった 太地浦の沖合いで折から昇る朝日を眺めて居りました。
すると突然 鯨の大群が現れ 朝日に映えて潮を吹き上げながら船団をかこんで進んでゆきます。
此のさまを見ていた嘉隆が大声を張り上げ「吉祥ぞ!皆の者あれを見よ。天は我らにくみし給うか 鯨どもを我らに援軍としてつかわされたり。我が水軍の勝利うたがいなし!」と叫んだ。
それを見た九鬼水軍の士気おおいにあがり勇気百倍して摂津沖の海戦で村上水軍を散々に討ち破りました。それからというものは 出陣する毎に鯨の大群に守られて 連戦連勝したと言い伝えられております。
*頭部の巴の紋様は 太地鯨方の宗家 和田家の紋所です。
とても可愛いお品です。