①ヴィヴァルディ
協奏曲集作品8の1-4《四季》
②クライスラー
ヴィヴァルディの様式による協奏曲ハ長調
ギル・シャハム(ヴァイオリン)
オルフェウス室内管弦楽団
録音:1993年12月
いまやバロック音楽の代名詞となった感のあるヴィヴァルディの《四季》。とくにわが国では抜群の人気を誇るこの名曲を、現代の若手ヴァイオリニストのシャハムと、指揮者を置かないオーケストラとして知られるオルフェウス室内管弦楽団という、清新な組み合わせの共演で収録。この演奏からは、新しい時代の《四季》の姿が鮮明に浮かび上がります。クライスラーの協奏曲をカップリング。
シャハム盤のいいところは、ソロ・ヴァイオリンがいい意味で際立っていること。第1Vnと第2Vnが同じ比重で、区別がつかないことがあるが、シャハム盤では彼の演奏が常に朗々と響き渡り、録音でも、そういう音の立て方をしている。では、それがアンサンブルを乱しているのかというと、そうではなく、アンサンブルのまとまりを強めている。それはオルフェウス室内管弦楽団と共演も主な要因のひとつ。オルフェウスはイ・ムジチのように指揮者を置かず、演奏者たちの自発性にゆだねている。シャハムとオルフェウスは、この演奏においてひとつの理想的な形を提示している。それとイ・ムジチですら古学派の影響を受けて、ヴィブラートを聞かさない奏法を採り入れている中で、シャハムは、ごく自然に指が動きたいと思うのに忠実に、最上質のヴァイオリンの音色を生み出していく。これがかえって新鮮で、オルフェウスのメンバーたちと、流れるようなグルーヴ感、緊張感、高まりを演奏全体にもたらしている。「夏」の第3楽章プレストなどは、今まで聴いた中で最もスリリングで説得力がある。ヴァイオリンを加えたプログレッシブ・ロックの曲のようだった。演奏が、新鮮でありながら刺激的なので、あっという間に終わっていく。録音がすごくいいので、おもわず音を大きくして聴いてしまう。さらに、ここで終わらないのがこのアルバムの嬉しいところ。「四季」のあとに、よりヴィヴァルディっぽいというような、クライスラーの曲が入っている。曲調も3楽章構成もヴィヴァルディ風。これが、アルバム全体の雰囲気を祝祭的なものにしていて、ここちよさが増幅している。
国内盤、帯無し、盤面傷無し 11
*まとめ買い値引きあり(要事前コメント)